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平成22年度 健康講話 5月


健康寿命を延ばすための秘訣とは

富山県健康増進センター所長 大江 浩
医師    

「健康寿命」とは、健康で身体的な能力を発揮できると期待される寿命のことで、平成21年は男性78.71年、女性85.44年という研究結果があります。

 寿命を延ばすには、まずは、比較的若い世代において死亡原因割合の高い「がん」を予防しなければなりません。そのためには、がん検診を定期的に受診することが重要ですが、各がん検診の受診率は目標の50%を大きく下回っているのが現状です。

次に、要介護の原因となる疾患を予防することも重要です。国民生活基礎調査によると、男女とも脳卒中が要介護原因の第一位です。脳卒中のうち約4分の3を脳梗塞が占めるとされていますが、近年、治療法が進歩しており、とにかく脳卒中が疑われたら、すぐに医療機関を受診するとともに適切なリハビリを受けることが大切です。
 また、脳卒中の危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動などをコントロールする必要があり、メタボリックシンドローム対策もその一環です。平成18年度の県民健康栄養調査によると、男性は2人に1人、女性は4人に1人がメタボリックシンドロームの該当者・予備群ですが、自分の健康状態を評価するために健康診断を受診し、生活習慣を改善しなければなりません。

 健康的な生活習慣は、強制ではなく、社会的なプロセスを経て形成されるものであり、家庭、学校、職場、地域における健康づくり活動が期待されます。

さらに、要介護の原因として比較的多い(特に女性で)、骨折・転倒、関節疾患や認知症の予防も大切で、カルシウム摂取、適度な運動、転ばない環境づくり・安全な外出等が重要です。また、最近、認知症予防のための脳トレーニング(エピソード記憶、注意分割機能、思考力)が注目されるとともに余暇活動(ゲーム、楽器演奏、読書、ダンス)で認知症発生率が低下するという医学論文も出ています。県内各地で「楽しく、気軽に、無理なく」をモットーに様々な高齢者サロンが開催されており、積極的に参加してほしいと思います。

 健康寿命を延ばすための秘訣として、特別なものはありませんが、健康寿命を延ばせば、ピンピンコロリに近づくことができます。今回、ご紹介したことを参考に、皆さん楽しい健康づくり活動を実践してください。




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